ちくわの穴

ちくわの穴から見た世界

『論理が伝わる世界標準の「議論の技術」』

ちょっと軽薄なタイトルにだまされることなかれ。
着実丁寧な議論の技術が網羅されている。

もちろん、自分が主体となって何か意見を主張するときにも役立つのだが、騙されないためにも必要な知識が数多くある。
たとえば立証責任。
これはある主張を持ち出した人が、その主張を裏付ける根拠を挙げなければならないということだ。
当然のように思えるかもしれないが、意外とこれが守られないことも多い。
あたかも当然のように主張されると、その根拠がないことに気づかないことも多いのだ。新聞の投書欄や社説なども酷い。
ある主張があったとき、まず「根拠はあるか?」と問うこと、これだけでグッと騙される確率は下がる。

しかし、根拠らしきものがあってもそこで満足してはならない。
その根拠の正当性もまた検証する必要がある。データはあるか?データはその根拠を本当に支えているか?
そこまでしてようやく主張の正当性を検討できる。

ここでは議論を受け取る側として役立つ技術を少し取り上げた。
もちろん本書中には、それ以外の主張の受け手として役立つ技術や、主張をするために役立つ技術が数多く載っている。
当たり前のようで、意識しないと実行できていないことが数多く載っている。
建設的な議論を行うために必須のスキルである。

ただ、やはりこの本でも触れられているように、日常多くのことは議論よりも習慣などで決まっている。
議論の方法を説いた本でありながら、議論万能論を声高に主張していないところも好感が持てる親切な本。
議論好きも議論嫌いも是非ご一読を。