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ちくわの穴

ちくわの穴から見た世界

レトリック第三の役割『レトリック感覚』

レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリックといって一般に浮かぶイメージはなんだろうか。
演説などで用いる説得の技術だろうか。
それとも文学を彩る装飾の技術だろうか。

本書は、レトリックにはそれら二つの役割の他にもう一つ、「発見的認識の造形」という役割があると主張する。

発見的認識の造形などと言われてもそれがなんだかさっぱりわからないだろう。
しかしそれは普段から自然に行っていることなのだ。

我々人間は何かを表現する時ことばを用いる。
表現したいものごとにちょうどいいことばがすでに存在していれば問題はない。

だが、しっくりくることばが見当たらないことも多い。
なぜなら、表現する対象となるもの、認識、感情は無限にあるのに対し、ことばは有限であるからだ。

そのとき我々はどのようにその物事を表現するのだろうか。
ここで効果を発揮するのがレトリック第三の役割、「発見的認識の造形」というわけである。

例えば、あなたがこのブログを「つまらない」と思ったとしよう。
しかしその「つまらない」は「つまらない」ということばで完全には言い表せないものであったとしよう。
そのときにレトリックを用いることで自分の感じたことを正確に伝えようとするのだ。
「このブログはまるで三流芸人のコントのようだ」などの直喩、「このブログはクソだ」などといった隠喩などによってである。

つまり、より正確に自分の認識を表現するためにレトリックを用いるのだ。

このようにレトリックにつきまとう「偽りの飾り物」、「詭弁の技術」などといったイメージを払拭し、「より正確に伝えるための方法」としてのレトリックを教えてくれるのが本書だ。

そのようなレトリック全般についての主張を、各レトリック(本書中ではことばのあや)についての説明を交えつつ行ってくれる本書は、日頃使うことばへの認識もまた新たなものへとしてくれるだろう。