読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ちくわの穴

ちくわの穴から見た世界

『理科系の作文技術』木下是雄

読書

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

はじめに

再読し、やはり良書だと思ったので書評を書きます。
タイトルには”理科系”とありますが、文系理系問わず文章を書く上で避けて通れないような本ではないでしょうか。
文章を書く上での基本が丁寧に盛り込まれています。

さて、この本を読んだ目的は以下の二つです。
①論理的な文章の書き方を学ぶこと
②そもそも論理的な文章とはどのようなものかを学ぶこと

この本で学んだことは主に以下のです。
①「仕事の文書」の書き方
②主題の絞込の重要性
③事実と意見の区別
④わかり易い表現の方法

内容

仕事の文書とは

作者は「仕事の文書」とは

理科系の人が仕事のために書く文章で、他人に読んでもらうことを目的とするもの

であると定義しています。
そしてその特徴について

読者に伝えるべき内容が事実(状況をふくむ)と意見(判断や予測をふくむ)にかぎられていて,心情的要素をふくまないことである.

と述べます。
この特徴を見るに、理科系の人に限らずこういう文章を書く必要があることは少なくないと思います。
その際にも当然応用できる内容といえるでしょう。

主題の絞込

一文では一つの主題に集中すべきだと筆者は説きます。
何故かと言うと、主題が複数になると、読者に散漫な印象を与えてしまうほか、説得力が低下してしまうからであると言います。
そして主題が決まれば、それを一文で表す「目標規定文」を書くようにすすめます。
向かうべき方向を見失いように頼りにすべきコンパスのようなものですかね。

事実と意見の区別

これも文章を書く上での基本だと思われますが、徹底できているかと問われると難しいです。
この本ではまず事実は何か、ということから説明してくれます。
筆者がこの書の中で定義するところによれば事実とは、

(a)自然に起こる事象(某日某地における落雷)や自然法則(慣性の法則);過去に起こった,人間の関与した事件(某年某地における某氏の出生)などの記述で, (b)然るべきテストや調査によって真偽(それが事実であるか否か》を客観的に確認できるもの

です。
実に厳密ですね。

そしてその事実とそれ以外の意見などを明確に区別せよと言うわけです。
そのための事実の書き方、意見の書き方を丁寧に説明してくれます。

わかり易い表現

筆者は、まず一文はできるだけ短くように心がけるべきことを説きます。
これは長いと何をいいたいのかが分かりにくくなるためですね。

さらには、紛れのない文を書くように心がけるべきことを説きます。
紛れのない文とは幾つもの意味合いに解釈されてしまう可能性のない文です。
文脈に寄って判断できることもありますが、複数解釈が可能な文というのは読んでいてわかりにくいものです。
例えば「イケメンの俺の友達」というフレーズはいくつも解釈ができてややこしいわけです。
イケメンなのは俺なのか、友達なのか、ということですね。
こういう場合は句読点で解決できる事が多いと思います。
「イケメンの、俺の友達」か「イケメンの俺の、友達」かです。

おわりに

一応、小学校から高校まで国語という授業をあるものの、文章の書き方を学ぶ機会はほとんどないのではないでしょうか。
私は今までそのような授業を受けた記憶は一切ありません。
また、学校で書く文章というのは、遠足などの感想や読書感想文などといった作文が主であったように思います。
これでは人に情報を伝える「仕事の文書」を書くための方法論は全く身につけることが出来ないのではないでしょうか。
多くの人がこの本でぜひとも文章の書き方の基本を学ぶべきであると私は考えます。